メニュー

耳のつまり感の原因~耳管狭窄症とは

[2024.09.10]

耳のつまり感、困っていませんか?

当院には耳の症状で受診する患者さんが多くいらっしゃいます。

耳掃除や耳のかゆみ・痛み、きこえの相談などと同様に、「耳のつまり感」という症状はとても多く相談いただきます。

症状は「水の中に入ってるような」「飛行機に乗っているときの様な感じ」「膜がはったようなきこえ方」など様々な表現になることがあります。

こういった症状の原因は大きく分けて2つに大別されます。

物理的な閉塞
  • 耳垢塞栓: 耳垢が耳を塞いで音が伝わりにくくなる状態です。
  • 外耳道炎: 外耳道(=耳の穴)の炎症や感染により腫れや痛みやつまり感が生じる状態です。
  • 中耳炎: 鼓膜の奥にある中耳という空間に炎症や液体がたまることで耳が詰まった感じがする状態です。
  • 耳管狭窄症:耳と鼻をつなぐ管に異常をきたすと、つまり感を感じます。
聴覚の異常
  • メニエール病: 内耳のむくみが原因で、耳閉感やめまい、難聴が生じる病気です。
  • 突発性難聴: 突然片耳が聞こえなくなり、耳閉感を伴うことがあります。

 

耳管狭窄症は少なくない

耳のつまり感の原因は、やはり耳垢や炎症により生じていることが多いですが、「耳管狭窄症」(耳と鼻をつなぐ管の異常)という疾患が原因になることも多いです。

今回は、患者さんにとっては聞き慣れない、耳管狭窄症について説明します。

 

耳管の構造・機能

耳管(じかん)は、中耳と鼻咽腔(鼻の奥)をつなぐ、約3.5~4.0cmの細長い管です。
下の図で、右下に伸びていく管が耳管です。中耳という空洞から、鼻の奥にある上咽頭という場所へつながります。
通常は閉じていますが、飲み込む動作やあくびをするときに開き、中耳の換気や排液を助けます。
また、耳管は中耳の気圧を外界の気圧と同じに保つ役割も果たしています。
飛行機に乗っている時に、あくびをすると気圧の違和感が消失するのは、耳管の換気・気圧調節作用のおかげです。

 

耳管狭窄症の病態

耳管狭窄症は、耳管が適切に開かず、中耳の換気が不十分になる状態です。その結果、中耳内に陰圧が生じ、耳閉感や耳鳴り、時には痛みを伴うことがあります。中耳内の圧力変化により、鼓膜が内側に引っ張られ、聴力低下を感じることもあります。

この状態が慢性化・悪化すると、中耳に水がたまってしまい、滲出性中耳炎という状態になることもあります。

耳管狭窄症の原因

耳管狭窄症の原因としては以下のようなものが考えられます:

  • アレルギー性鼻炎:鼻粘膜の腫れ・炎症が耳管に波及し、耳管の開閉を妨げます。
  • 上気道感染症:いわゆる風邪のことです。風邪による鼻・のどの炎症が耳管に影響を与えます。
  • 加齢:年齢とともに耳管の機能が低下することがあります。
  • 構造的異常:口唇口蓋裂など先天的な異常や外傷、手術後の瘢痕形成、のどの放射線治療が原因となることがあります。

耳管狭窄症の治療

治療方法は原因や症状の程度によりますが、一般的には以下のような方法が用いられます:

  • 薬物療法:風邪やアレルギー性鼻炎など鼻副鼻腔や咽頭の炎症が原因の場合、その原因疾患の治療を行います。
  • 耳管通気法:自己通気(バルサルバ法)や耳管通気処置など、中耳内の圧力を調整するための処置があります。
  • 手術:重症例や他の治療法が効果を示さない場合、手術を行うことがあります。例えば、鼓膜換気チューブ挿入術や耳管バルーン拡張術などがあります。
    (耳管バルーン拡張術はかなり専門的な治療で、どこの施設でも可能なものではありません)

耳管の機能を調節するような飲み薬は残念ながらありません。
多くの場合は、鼻風邪や副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎が原因となるため、鼻の治療を行うことで、間接的に耳管機能の回復を促していくアプローチをしていくことが多いです。
風邪などによる一時的な耳管狭窄症は、1週間~1ヶ月以内には改善することが多いです。


耳管通気処置は昔から行われている処置ですが、受診した際に1回だけ行っても効果は一時的です。
治療としての有効性は一時的ですが、通気処置を行ってつまり感が改善するかどうか確認することで、耳管狭窄症の診断はより確かになります。
そのため、耳管狭窄症のより確実な評価として、診断目的では有効な処置です。
また、自分で”耳抜き”ができる方は、一日に何回も繰り返し耳抜きを行うことでつまり感が改善することはあります。

なかなか治らない場合は、耳管機能の検査や、他の耳の病気がないか、もう少し進んで精密に検査が必要になることもあります。

耳のつまり感を始めとして、みみ・はな・のどの症状でお困りの方は一度ご相談いただければと思います。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME