こどものかぜが長引くのはなぜ?
こどものかぜが長引くのはなぜ?
お子様がかぜを引くことは日常茶飯事です。
成人は年に1,2回かぜをひきますが、乳幼児期は年に6,7回かぜをひくと言われています。
すぐに治ると思ったら、1,2週間たっても、1ヶ月たってもすっきりしない。
思っていたよりも長引いていて心配になったことがある方が多いと思います。
こどものかぜが長引くのはなぜか?
大人に比べると、免疫が未完成のため、かぜにかかりやすく・治るまでも時間がかかるからです。
また、長引いたかぜが治りかけたころにまた新しく別のかぜをひくこともよくあり、症状がとても長引いていると感じます。
簡単に説明すると、このような理由でした。
一番身近なこどもの病気は”かぜ”ですが、ママ・パパにとってはわからないことが多いと思います
今回は、こどものかぜについて、情報提供をしたいと思います。
まず、こどもが風邪をひきやすい理由は以下にまとめられます。
・大人にくらべて免疫が未完成
・集団生活をしているので、感染症をうつしあいやすい
・手洗いうがいやマスクなどの感染予防行動ができない
https://amr.ncgm.go.jp/(AMR臨床リファレンスセンター資料より引用)
子どもは小さいうちに、色んな人と接して色々なかぜや感染症を経験し、だんだんと免疫が完成されていきます。
学童期になるくらいでやっと風邪の頻度は減ってきます。
その頃には、手を洗ったり、マスクしたり、予防する行動も身についてくるかもしれません。
風邪の原因と感染経路
”風邪”の原因はほとんどがウイルスです。(細菌感染であることは少ないです。)
風邪のウイルスと子どもへの感染
かぜの原因となるウイルスは、無数にあります。
頻度の多い代表的なものでは、ライノウイルス、(新型ではない)コロナウイルス、RSウイルス、などです。
あまりに原因となるウイルスが多いので、ひとつひとつを病院で検査して調べることはできません。
医療機関において、必要と判断された場合には、新型コロナウイルス、インフルエンザ、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、などは検査を行うことがあります。
子どもの風邪の一般的な感染源
かぜというのは、既にかぜをひいている他の人からもらってくることで発症します
コロナ禍を通してよく言われているように、ウイルスが含まれた、せきやくしゃみなどの飛沫から感染します。
その他、接触感染といって、汚染されたものをふれることで感染することもあります。アデノウイルスなどが代表的です。
一般的なかぜは空気感染はしません。
症状と診断
発熱とその対処法
突然、「発熱した」と保育園や幼稚園から連絡をもらうことはときどきあると思います。
その度またかぜを引いた、と思うことでしょう。
お子様が発熱したときは、熱が高くても、元気ならば大きな心配はしなくてもいいです。
ですが、生後90日以内の新生児・乳幼児の場合はすぐ小児科にかかるようにしてください。
受診する前には、体温を測った時間・体温、解熱剤を使った時間をメモしておくといいでしょう。
発熱して、元気がない・機嫌がわるいなど症状がある場合は、解熱剤を使ってみましょう。
37度台で体温があまり高くなくても、機嫌が悪ければ使ってあげてもよいです。
また、発熱して、体温が上がっていく時期は寒がることが多いので、暖かくしましょう。
逆に、体温が下がっていく時期には暑いと訴えると思うので、衣服を調整して涼しくしてください。
5日間発熱が持続する場合も、受診して診察を受けたほうが良いです。
鼻水とくしゃみの症状について
風邪の初期に鼻水やくしゃみが出ることが多いです。
最初は透明で水のような、サラサラした鼻水がたくさん出て、時間が立つと徐々にネバネバの鼻水になり、徐々に止まっていきます。
治るまで数日~2週間ほどかかります。
かぜの鼻水に有効な薬はありません。
「鼻水止め」として出される薬は、アレルギーによる鼻水を抑えるおくすりです。
もともと、ベースにアレルギー性鼻炎を持ってるお子様には、アレルギーを抑える分有効です。
それでも、効果は限定的です。
鼻水に対してご自宅で出来るケアとしては、吸引器があれば、こまめに吸ってあげることです。
動かないようにしっかり体を抑えて、ノズルを鼻の穴にあてたら、向きをいろいろと試してみて、鼻水が出てくる向きを探してください。
ほっぺたを外側にひっぱると鼻の空間が広くなります
参考:https://youtube.com/shorts/QAd5oBv6OBQ?si=aI8Fhi7JWKChp5yM
寝付きやすくするように、お風呂上がりや寝る前にやってあげるといいと思います。
咳・声がれ・その他の風邪症状
咳が長引くことも多いと思います。
子どもの咳止め薬は有効ですが、すぐに咳が止めたり、強い効果は正直期待できません。
タンが絡んだような咳は痰切りが有効ですが、これも多くは期待できません。
咳は1,2週間ほど続くことが多いです。
咳止め薬の他には、はちみつが有効と言われています。
咳が続いて困るようなら、ティースプーン1杯程度のはちみつを寝る前にとってみてください
(1歳未満のお子様ははちみつは摂取できません。)
3週間以上続く場合はまた診察を受けるようにしましょう。
声がれについても心配される方が多いですが、通常は1~2週間程度で治っていきます。
可能であれば、大きな声をだしたり、長時間のおしゃべりを控えてのどを休めましょう。
長引く場合は耳鼻科を受診してください。
子どもの風邪の治療方法
医師のアドバイスと診断の重要性
子どものかぜはありふれた病気です。
適切なホームケアや対症療法のおくすりを使い様子をみていけば自然と回復していきます。
発熱や風邪症状を呈する病気の中には、中耳炎・副鼻腔炎・肺炎・髄膜炎・・・など重篤な疾患がまぎれています。
いつもの風邪と違って元気がない、強い頭痛がある、ぼんやりして意識がはっきりしない、など
親の目線から見てただの風邪ではおかしいと思うような症状があれば病院を受診しましょう。
その場合は、医師の診断が必要です。
治療薬と自宅でのケア
風邪の経過と注意すべきポイント
風邪の経過と回復期間
風邪の回復期間については大人の場合は1週間くらいをイメージすると思いますが、
子どもの場合はもう少し長くなります。
アメリカのCDCのHPをみると、一般的な風邪ではのどの痛みが約1週間、鼻水・鼻詰まり・咳は2週間以上続くと記述されています。
https://www.cdc.gov/antibiotic-use/colds.html
大人のかぜとくらべると随分長く感じると思います
さらに、この回復している途中で、別のかぜを引いてくることも多く、その場合は1ヶ月以上すっきりしないこともあります。
年齢に応じた注意事項
かぜを引く頻度は、0~4歳で特におおく、小学校にあがるころからだんだん少なくなります。
小さい子どもほど長引き、風邪をひく頻度が多いです。
上にも書きましたが、生後90日以内のお子様の発熱はすぐに小児科を受診しましょう。
また、5日以上の発熱が続く場合も受診をおすすめします。
以上、こどものかぜ症状についての私見です。
かぜ一つとっても、診察の時間内ですべてを解説することは難しいです。
なにかわからないことや不安なことがあれば、診察のときにご質問いただければと思います。
松浦聖平