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アレルギー性鼻炎への新しい治療アプローチ:舌下免疫療法について

[2024.04.05]

舌下免疫療法とは何ですか?

アレルギー性鼻炎の治療として、舌下免疫療法というものがあるのはご存知でしょうか。

一般的に、アレルギー性鼻炎の鼻水・鼻づまり・くしゃみなどの症状へ使用するお薬は、体の中で起きているアレルギー反応を抑えるようなお薬です。

既に発生している症状を抑える、いわゆる対症療法というものです。

今回ご紹介する舌下免疫療法は、アレルギーそのものを抑制する効果が期待でき、対症療法とはまた異なるものです。

当院では、ダニによる通年性アレルギー性でお困りの方に、この舌下免疫療法も提案しています。

(ちなみに、ダニアレルギーがある場合はほぼハウスダストアレルギーがあり、「ホコリ・ハウスダストのアレルギーがある」と言われている方も治療対象となることが多いです。)

今回は、その舌下免疫療法についてご紹介いたします。

 

*既に舌下免疫療法を始めている方で、転居などに伴い当院でミティキュア・シダキュア継続処方をご希望の方は、受診の前に一度お問い合わせください。

アレルゲン免疫療法の基本原理

アレルギー症状の軽減に向けた新たなアプローチ

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となる物質(=アレルゲン)を毎日投与していくことで、アレルギーの症状を緩和する治療方法です。

アレルゲンをお薬にして製剤化したものを、毎日舌の下にいれてから飲み込みます。

毎日毎日、アレルゲンに暴露されていくことで少しずつアレルギーが抑制されていきますので、結果として鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの症状が改善していきます。

日本国内では、ダニ・スギのアレルギーに対する舌下免疫療法のお薬が認可されています。

北海道ではスギ花粉症はほとんどないので、ダニアレルギーが主な対象になります。

 

舌下免疫療法の効果とは?

ダニアレルギーに対する治療効果

一般的に、舌下免疫療法では、8割前後の患者さんで有効性が期待できます。鼻水、鼻づまりなどの症状の緩和の他、併用する薬を減らすこともできます。

ダニ単独にアレルギーのある患者さんは特に効果が高いと報告されています。

一方で、効果がでない患者さんがいることも報告されています。効果がでないことを事前に予測することは困難ですので、

やってみないと、どれくらい効果が出るかはわからない、ということになりますね。

 

また、舌下免疫療法の効果はすぐには出ません。

効果が出てくるのは、治療を開始してから数ヶ月ですので、治療には根気が必要だと思います。

ですが、長期間の内服を頑張って完遂した先には、これまでなかなか改善しなかった鼻水、鼻づまりなどの症状が改善し快適な生活に近づけると思います。

また、併用する薬も減らすことが可能なので、大きなメリットのために、長い時間の治療が必要と思うことにしましょう。

 

舌下免疫療法の適応と注意点

舌下免疫療法の適応と治療の進め方

多くの耳鼻咽喉科医師は、「鼻アレルギー診療ガイドライン」というアレルギー性鼻炎の治療指針を示したガイドラインを参考に治療を行なっています。

学会の偉い先生たちが世界中で蓄積される大量の論文を解析し、科学的根拠に基づいてアレルギー性鼻炎の治療方法を示したいわゆる手引のようなものです。

そこでは、舌下免疫療法は軽症~最重症まで、すべてのダニアレルギーの患者さんに適応できる、とされています。

ただし、採血などの検査により、ダニのアレルギーが確定していることが必要です。

 

また、小児、成人ともに適応可能ですが、5歳未満の小児では安全性が確認されていません。

個人的には、「薬を舌の下で保持して飲み込む」という少し複雑な手順の理解や、体調も含めた服薬の管理の必要性から、5歳以上の場合でも全員が可能とは限らないと感じています。

 

また、禁忌といわれる、舌下免疫療法を行なってはいけない条件もあります。

  • 重症の喘息のある患者さん
  • 舌下免疫療法の薬でショックを起こしたことがある患者さん

これらに該当する場合は、舌下免疫療法をおこなうことはできません。

治療の進め方

舌下免疫療法では、ダニのアレルゲンを製剤化したお薬を使います。

最初の1週間は、アレルゲンの少ない錠剤を使用し、2週間目以降は標準量の錠剤を使用します。

薬の用量を増やしていきながら、副作用が出現しないか確認します。

重篤な副作用としては、アナフィラキシーショックなど、軽いものだと口の中やのどのかゆみ・異常感です。

重篤な副作用が生じることはかなりまれであり、安全性の高い治療です。

 

問題がなければ、この標準量のお薬を、毎日1日1回、3~5年間内服していきます。

(風邪などの体調不良、歯科治療を行なっている時期などの例外を除きます)

内服の方法も通常と異なり、錠剤を舌の下に1分間保持してから飲み込む、というかたちです。

飲みこんだ後5分程度はうがいや飲食は控える必要があり、薬を飲む前後2時間は飲酒、入浴、激しい運動は控える必要があります。

通常よりも少し服用の方法と、前後の行動に注意が必要です。

 

注意事項

薬の内服は、毎日必要ですが、内服を控える必要がある状況もあります。

  • 喘息発作や症状が激しいとき
  • 口の中に傷や炎症があるとき
  • 抜歯など口の中の手術や治療をおこなったとき
  • 風邪を引いているときや体調が悪いとき

これらに該当する場合は、かかりつけ医に相談する必要があります。

内服中断期間が長い場合は、再開する際に、導入初期の少ない用量のお薬から始めることもあります。

 

舌下免疫療法を考えている患者さんへ

これまで書いてきたように、少し管理が面倒な治療かもしれません。

ですが、毎日服用していく薬なので、お薬の管理に慣れてうまく対応していける患者さんがほとんどです。

従来の治療でなかなか満足のいく改善がない患者さんには、ぜひおすすめしたい治療です。

 

当院では、舌下免疫療法の導入の患者さんは、一度市立千歳市民病院へご紹介します。

導入初期にはアレルギー症状や副作用が生じる可能性があり、リスク管理のため、市立千歳市民病院と連携しています。

舌下免疫療法の安全性は非常に高く、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー症状が起きる可能性はかなり低いです。

ですが、万が一に備えてこのような体制となっています。

 

導入後、特に問題なければ当院で継続処方をしていきます。

診療予約もスタートするので、継続処方のための受診もご予約をいただければ待ち時間は最小限になります。

 

舌下免疫療法について相談したい患者さんはぜひ、診察の際にお声掛けいただければと思います。

まず診察と検査を行なって、適応があれば導入のため市立千歳市民病院へご紹介します。

 

また、こちらのアレルゲン免疫療法ナビという製薬会社作成のページでも詳しい解説がみられます。
ぜひご参考にしてください。

 

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