「寝ているときに口が開いている」「いつもポカンと口をあけている」――そんな様子に気づいて受診されるお子さんは少なくありません。口呼吸は一見“癖”のように見えますが、その背景には鼻の通りにくさ(鼻閉)が隠れていることがあります。
子どもの口呼吸、実はよくある悩み
「寝ているときに口が開いている」親が気づくサイン
就寝中の口開き、口の乾き、朝ののどの痛み、日中の口呼吸などは、鼻が詰まっているサインです。
口呼吸と鼻づまりはなぜ起こる?
口呼吸の最も多い原因は、鼻づまりです。
鼻の粘膜が腫れたり、鼻汁が増えたり、鼻の奥のアデノイドという組織が大きいなどの理由で空気が通りにくくなると、自然と口で呼吸するようになります。
口呼吸が続くことで起こる影響
学習への影響:集中力が続かない・落ち着きがない
鼻づまりで睡眠の質が下がると、日中のぼんやりや注意力低下につながることがあります。
健康への影響:のどを痛めたり、風邪の原因にも?
鼻呼吸ができないと口腔内が乾燥し、のどのイガイガした感じや、痛みの原因になります。
また、鼻はホコリやウイルスなどの病原体の侵入を防ぐフィルターの役割をしています。口呼吸になると、のどを痛めたり、風邪を引きやすくなったりする懸念があります。
また口腔内が乾燥し、唾液が少ない状態が持続すると、口臭や虫歯の原因になることもあります。
発育への影響:歯並びや顎の成長に悪影響
長期間の口呼吸は、歯並びや顎の発育に関わる可能性があると報告されています。
特に、アデノイド顔貌という特徴的な顎顔面形態になるとも言われています。
子どもの口呼吸の原因となる病気
アレルギー性鼻炎
花粉やダニなどに対する反応で粘膜が腫れて鼻づまりが続きます。季節性(シラカバなど)と通年性(ダニ・ハウスダスト)があります。
特に年間を通じて鼻詰まりや口呼吸担っている場合は、ダニやハウスダストによる通年性アレルギーの可能性が高いです。
アレルギー性鼻炎は薬での治療で改善できます。
慢性副鼻腔炎(小児副鼻腔炎)
風邪をきっかけに鼻水・鼻づまりが長引き、膿性鼻汁や後鼻漏(鼻水がのどに回る)が続くことがあります。
アデノイド肥大・扁桃肥大
鼻の奥やのどのリンパ組織が大きいと気道が狭くなり、口呼吸やいびきの原因になります。
耳鼻科でできる検査と治療
鼻腔の観察
鼻やのどの状態を直接観察し、必要に応じて副鼻腔やアデノイドの評価を行います。
内服治療・ネブライザー治療
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎では、症状や年齢に応じた薬による治療と吸入治療を行います。
点鼻薬といって鼻に使うスプレーや、飲み薬での治療を行います。
舌下免疫療法(5歳から開始可能)
ダニアレルギーが原因の場合、アレルギー反応を長期的に抑える根本的治療の選択肢になります。
手術的治療が必要な場合も
アデノイドや扁桃肥大が重度な場合は、基幹病院での手術を検討することがあります。
手術となると心配になると思いますが、アデノイドや扁桃肥大による口呼吸やいびきは、手術で大きく改善できる可能性が高いです。
受診を検討すべきサイン
- 常に口を開けている
- 就寝時に大きないびきをかく、呼吸が止まる
- 鼻づまりや鼻水が2週間以上続いている
まとめ:子どもの口呼吸は放置せず、耳鼻科で相談を
子どもの口呼吸は、ただの習慣ではなく鼻やのどの病気のサインであることが多いです。集中力や成長に影響する可能性もありますが、適切な診断と治療で改善が期待できます。気になる症状があれば、早めに耳鼻科でご相談ください。